監督は、「殺しのドレス」から「ファム・ファタール」まで、センシャルな
サスペンスの演出にかけては右に出る者のいない巨匠ブライアン・デ・パルマ。
「アンタッチャブル」や「スカーフェイス」といった傑作ノワール・フィルムの作り手としても知られる彼は、今回、その持ち味を存分に発揮。
1940年代のなまめかしい空気感を重厚な映像に封じこめ、犯罪の表と裏を自在に描写.
ショッキングな猟奇殺人事件をきっかけに、自分自身の過去や秘密と向き合わざるをえなくなった人間たちの業の深さを浮き彫りにしながら、迷宮入り寸前の事件の謎が解明されていく過程を、息詰まる緊迫感の中に描き上げていく。
ポルノ・フィルム。道化師の肖像画。マック・セネットの喜劇。
バスルームに隠されていた数千ドルの現金。
事件の周囲に、バラバラにちりばめられていたパズルのピース。
それらがひとつになったとき、浮かび上がってくる絵は何か?
ラストで明かされる驚愕の真実が、観る者を新たな衝撃へと誘う。(出典:eigafan.com)
監督:ブライアン・デ・パルマ(「アンタッチャブル」/「ミッション・インポッシブル」/「ファム・ファタール」)
原作:ジェイムズ・エルロイ(暗黒L.A.4部作「ブラック・ダリア」/
「ビッグ・ノーウェア」/「L.A.コンフィデンシャル」/「ホワイト・ジャズ」)
キャスト:ジョシュ・ハートネット/スカーレット・ヨハンソン
/ヒラリー・スワンク/アーロン・エッカート/ミア・カーシュナー
腰の部分で切断された女性の惨殺死体。40年代のロサンゼルスで起こった迷宮入りの事件に、
自らの少年時代の記憶も反映させて書いたジェイムズ・エルロイの傑作小説を映画化。
死体から浮かび上がるハリウッドの裏事情に、事件を捜査するふたりの刑事が、
ひとりの女性を巡る愛と欲望のドラマが絡み合う。
極端な長回しはないものの、さまざまなタイプのワイプ(場面転換時の映像切り替えテクニック)を用いるなどブライアン・デ・パルマ監督のこだわりが楽しめ、映像的にはここ数作の彼の作品のなかでは出色の出来。
倒錯的な愛、異性装、ファム・ファタールなどデ・パルマの初期作を輝かせた要素も散りばめられ、
『ファントム・オブ・パラダイス』のビル・フィンレイが登場するなどファンにはうれしい限りだ。
40年代のロスの雰囲気もじつにうまく再現され、音楽や映像の色合いなど、
どこか同じエルロイ原作の『L.A.コンフィデンシャル』が意識されている。
やや残念なのはキャスティングで、ジョシュ・ハートネットとスカーレット・ヨハンソンは健闘しているが、
運命のカギを握る役としてはふたりとも存在感不足。脇役の方が光ってしまう。
しかし、それらもわずかな欠点。
全体を覆う独特で怪しげなトーンは、他の監督作にはない心のざわめきをもたらす。(斉藤博昭)
元ボクサーのふたりの警官バッキーとリーは堅い友情で結ばれていた。
リーの恋人ケイは元ギャングの情婦だったが、いまはリーと同棲中。
3人はいつも一緒だった。ところが若い女性の惨殺死体を発見したことをきっかけに、リーは変わった。
捜査に異常な執念を燃やす。この事件の裏にはいったい何が隠されているのか…。
ジェームス・エルロイの同名原作をブライアン・デ・パルマが監督したサスペンス・ミステリー。
1940年代を舞台に、ファッション、美術などビジュアルにこだわりを見せながらも、サスペンス映画にとことんこだわり続けて作品を発表してきた監督らしく、複雑な人間関係を怪しくミステリアスに魅了していく。
エルロイの原作を映画化した傑作『L.Aコンフィデンシャル』は殺人事件を軸にして、警官ふたりと娼婦をからめて綴ったが、本作は、ジョシュ・ハートネット、アーロン・エッカート、スカーレット・ヨハンソン演じる、ふたりの男とひとりの女の微妙な三角関係を軸に事件がからんでいく構成。
人間関係を濃密に描くことで、真相をより衝撃的に見せている。(斎藤 香)